
宇宙小戦争(リトルスターウォーズ)
作者から読者へ
大長編ドラえもん、第六作目にあたる「のび太の宇宙小戦争」は、昭和六十年春に上映された、アニメ映画の原作です。
今回は、突如現れた小さな宇宙人が、のび太とドラえもんたちを、新しい冒険の世界に導きます。舞台は見知らぬ星、ピリカ。
スモールライトで小さくなったのび太たちの、大きな活躍ぶりを、みなさんに楽しんでいただきたいと思います。
藤子F先生、ありがとうございました。
あらすじ
夏休み、自主映画作成に燃えるジャイアン・スネ夫・のび太。だが、どんくさいのび太は、のけ者にされてしまう。ドラえもん、しずちゃんと共に映画作成をするのび太だったが、しずちゃんのぬいぐるみが無くなってしまう。盗んだ犯人は、なんと小さな宇宙人だった!?
大雑把な感想
スネちゃま、大活躍!!今回は、普段あまりスポットライトが当たっていないスネ夫が、輝いていましたね。プラモづくりの腕を最大限に発揮し、メカニックとして活躍。いつものヘタレっぷりも健在ですが、しょうがないですよね。スネ夫のリアクションが、一番現実的です。友の為とはいえ、あんなに勇敢にはなれない。
出木杉ェ…のび太の代わりに助っ人として、映画作りに参加し、様々なアイデアを提供。恐ろしく早い兎の乱入も、見逃さず、ピシアによる攻撃も、「のび太達の仕業では、ない」と考えていました。…以上です。何も言わずに、姿を消しました。
小さい体となり、人形と踊ったり、腹いっぱいメロンを食べたり、とても楽しい序盤と、小さいが故に敵の土俵で、戦い苦戦する中盤、元の大きさで無双する終盤、「アリスinワンダーランド」みたいな、愉快な物語です。
ゲストのパピも、とても良いキャラクターでした。ただ守られるだけでなく、自分が巻き込んでしまったから、としずちゃんを助けに行く姿、ドラコルルに対して、はっきり物申し、しずちゃんとの感動の再会に涙を流す。素敵な大統領です。
「少年期」、武田鉄矢さんが歌う、主題歌。藤子F先生も、お気に入りの曲だそうです。本にも、歌詞が掲載されております。
敵
「ギルモア」珍しい、直接対決しなかったラスボス。クーデターを行い、国家転覆を狙うのは、「ダブランダー」と同じなのでが、兵力の差がやばい。高みの見物という、立ち位置で、最後はのび太達の奮闘によって、元気づけられた市民達からの反逆に遭いました。ドラえもん達と一切会うことも、彼らを見ることすらなかった、珍しいラスボスです。
やっぱこれだね♪秘密道具
・スモールライト
光を浴びることで、小さくなれる。「質量保存の法則」?…知らんな。
ビッグライト使えば、いいんじゃね?と思っただろうが、手持ちになかったとか、修理中だったとか、理由があったのでしょう。リメイク版では、堂々と使ってたので、ツッコミましたが。
効き目が切れるという、新設定で危機を打開しました。永久に効果があるものなんて、ありませんよね。途中から、「効き目が、効き目が」と言っていたのは、伏線なのでしょうか?
・改造手袋
どう改造するかを考えてくれる「天才ヘルメット」と併用する。指先が色んな工具に変化し、あらゆる改造を可能としている。スネちゃまが、大活躍を納めた。
・チータローション
足に塗ることで、チーター如く、物凄いスピードで動き回れる。同様の効果を持つ、「モータローション」という道具も存在する。効果時間が短い。
推し!名場面
しずちゃんを庇って、攻撃を受けるスネ夫ですね。戦車の装甲により、無傷でそこから勢いづいて、無双していく展開が好きです。のび太達は捕まってしまい、危機的状況。だが、宇宙では大船団を向かい討ち、こちらが優勢であるという、戦況の対比が素晴らしい。
フフフなしずちゃん
牛乳風呂に入る。肌には良さそうだが、臭いが気になるところ。自分が敵に捕まったことで、パピが身代わりになったことに責任を感じたり、怯えるスネ夫を叱咤激励し、敵船団を撃退する等、要所要所で大活躍。
ゲストを語ろう

藤子F先生を悩ませた強敵・ドラコルル長官
ただ強く、賢いだけでなく、のび太たちの挑発に怒る。部下の発言に耳を傾け、手柄を上げれば賞賛し、出世を約束する。ギルモアに表面上、ペコペコするが、内心見下している等、人間味がある部分が好きだ。
とても頭がキレるので、何をしても対策を練られてしまう為、倒す方法を考えるのに、藤子F先生がとても苦労したそうです。「力は弱いが、最強」という言葉がとても似合う。情報も策略も、戦術です。
リメイク版の方は、あまり好きじゃない。人間味を無くしたいのか、出したいのか、はっきりしなかった。
部下とのやり取りはほぼなく、ほとんど彼一人の完璧超人という描かれ方がされており、それ故に皆彼に頼りっきりであるという、弱点が描写されている。だが、すごく冷徹なのかと思えばそうでもなく、頻繁に捕虜とやり取りをしたり、パピの演説に意味深長な反応をしたり、部下は見逃すようにジャイアンに頼んだり、描写されればされるほど、どういう人物なのか、分かり辛くなっているように、私は感じました。
※YU想、オリジナルカラーリング使用になっております。