あらすじ
大スター・皆賀星輝を守るボディーガード・隙間ウメルは、ストーカーと思われる女を捕らえた。だが、その女はストーカーではなかった。
後三人で、憧れの人と握手!!と考えていたヒマワリだったが、汗ばんだせいで、手袋が外せなくなってしまった。そんな彼女を鋭く監視していたウメルは、プランを考える。
あの女、手袋の下に超小型ナイフを、隠しているに違いない。取り出したら、大きくなるアレだ…そしてこうなる
「両親ノ仇ィ、ヤァ!!」
肩を刺された皆賀星輝は、苦しみながら倒れ、真実を語る。
「くぅぅぅ、実は俺が、本当の父親なんだ。嫌、親父親父親父なんだ…」
「ソンナ、マイファザー…ソンナアホナ」
とならないように、俺が女の腕を止めて、
「待て、そんなことしたら、天国に行けなくなっちゃうよ」
和解の握手をさせる。そして、皆ニッコリだ。
プランを組み立てたウメルは、早速ヒマワリに近づき、腕を掴んだ。
「待て!!」
スポッ
「あ、手袋やっと外れた。ありがとうございます!!あーでも、手がビチャビチャだ」
「良かったら、このシートを使ってくれ」
シートのおかげで、汗ばんだ手がキレイになったヒマワリ。笑顔で、ウメルに礼を言う。彼女が犯人ではない、と判断したウメルは、微笑み返す。二人の間に、友情が芽生えた。
その時である、前の方で叫び声がした。女が刃物を振り回しているそうだ。ストーカー候補は、目の前にいるのに一体なぜだ、とウメルは考え込む。
「何してるウメル!!ストーカーだ、ストーカーが暴れているぅ!!」
先輩の叫びで、我に返ったウメルは、ある仮説に行きついた。
(何ぃ!ストーカーが、分身したのか!!善のストーカーと、悪のストーカーに!!)
ラジオで習ったという護身術で、華麗に女の刃物を躱す皆賀。ボディーガード達に、女の正体を話した。
「彼女は、昔僕が居た劇団で、ヒロインを務めていた人です。何度か、共演しました。」
まさか、君が犯人だったとは…皆賀も困惑していた。
「私のことを愛してるって、一生離さないって、そういったじゃない」
女が突き出した刃物が、先輩の尻を突いた。これは、痛い。
「ジョセフィーヌ・ジョンソン・四十三世は、そういったが、僕は言ってない。君は昔から、役に入り込み過ぎるところがあった。君は、アルフレッド・マテテリアン・アルミコングじゃないだろ?レぺロナノカ・二ベルナンダロ・ヤヤコシーナでもない!!」
邪魔だ!と先輩を突き飛ばし、ウメルも乱入する。現場は、混沌を極めた。
「皆賀さん、私が来たからには、もう安心です!で、ストーカーはどこですか?」
現状を理解しきっていないウメルを、先輩は怒鳴り散らした。
「ウメル貴様ぁ!!どうして、犯人と一緒に居たのに、何もしなかった!!」
「お前が犯人だったのか!くぅぅ、ストーカーが、黄色い恰好をしていると、知っていれば…」
後悔するウメルに、女は呆れながら呟いた。
「それ以前の問題でしょ…分かったなら、私とオマエガスキデ・キライナンヤ・ドッチャネンの恋を邪魔しないで!!」
「また、役に入り込み過ぎている…」
後方で、様子を見ていたヒマワリは、腹が立っていた。どうして今日は、自分のやることなすことを、邪魔する人間が多いのかと。そして叫んだ。
「ちょっとアンタ!!いい加減にしなさいよ!皆賀様は、あなたの物じゃなくて、皆のものでしょ!!そうやって、自分勝手だから、フラれるのよ!!」
ヒマワリの正論に、怒った女は、彼女に向かって突っこんでいく。
「善のストーカーと、悪のストーカーが、今一つに…」
ポカンと様子を眺めるウメルに、女を後ろから抑えた先輩は叫んだ。
「お前は、さっきから何を言ってるんだ。早く、女を取り押さえろ!!」
事件は一件落着した。ウメルは、責任者に呼び出された。
「ウメル君、覚悟は出来ているね」
「はい…皆賀星輝、専属ボディーガードになります」
「うん…え!?」
ウメルの決意は固かった。今回の仕事に手ごたえがあり、今度こそ、上手くできると思った。責任者は、はっきりと言い放った。
「ウメル、君はクビィィィだ!!解雇だ、仕事を辞めてもらう!!」
そっちかぁ、とウメルは思った。
一方、ヒマワリは皆賀と話をしていた。
「ありがとう、君のおかげで助かったよ。彼女も、反省してくれれば、いいんだけど。」
皆賀は、ヒマワリの腕をじっと眺めた。日に焼けて、赤くなっていた。
「あんまり、見ないでください…私すぐ焼けちゃって、恥ずかしい…」
日焼けの後を隠すヒマワリに、そんなことないよ、と皆賀は語り掛けた。
「それは、今日の君の勲章さ。日に焼けるのも、嫌なことばかりじゃないさ。」
そういうと、日焼けに効くクリームを渡してくれた。撮影で、よく焼けてしまう彼は、いつも持ち歩いているそうだ。
憧れの人と話し、気遣ってもらえて、ヒマワリは幸せだった。
終わり。
あとがき
ダメですね~一話でサクっと終わらせるつもりだったのですが、キャラクターが出てくると、どうしてもしゃべらせたくなって、長くなってしまいます。話も、めちゃくちゃになっちゃいましたし。
クセが強くて、読みにくかったかもしれません。ですが、私の作品って個性的な喋り方のキャラクターが多いんですよね。
台詞が多くて、文章が短いので、読みやすいとよく言われます。それが私の持ち味なのだと、活かしたいと考えています。あんまり説明臭いのも、考えものですからね。
読んでいただき、ありがとうございました。それでは、次回お会いしましょう。